豆腐LINK集
起源説は複数あり定かではない。紀元前2世紀前漢時代の淮南王(わいなんおう)・劉安(りゅうあん)にちなむ中国伝来の食品であるという説[1]がある。しかし、前漢に原料の大豆はなかったとも言われる。[誰?]日本へは奈良時代に遣唐使によって伝えられたともされるが、それ以前に伝わっていた可能性もある。
「腐」の字は本来『納屋の中で肉を熟成させる』という字義から転じて、柔らかく弾力性があるものを意味するものであったが(納豆の名称由来も参照のこと)、日本では食品に「腐る」という字を用いることを嫌って、豆富や豆冨などと記すこともある(日本の豆腐は発酵していない。すなわち腐っていない。中国には豆腐を発酵させた食品もある)。豆腐を好んだ作家泉鏡花は、極端な潔癖症でもあったことから豆府と表記した。味噌汁や粕汁や鍋料理の具材などとして、日本では非常に一般的な食品である。また、中国においても日本以上のさまざまな豆腐があり、各種の料理が作られている。韓国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、インドネシアなどでも日常的に食べられている。また、アメリカなどでも以前から一定の人気があったが、今日では多くの食料品店で売られており、『tofu』 自体も英単語として定着している。
天明2年(1782年)に刊行された『豆腐百珍(とうふひゃくちん)』には、100種類の豆腐料理が記述されており、また様々な文学でも親しまれてきた。
現在は殆ど見られないが、かつて、主に関東地方において、豆腐の売り歩きをする際に豆腐屋はラッパを吹きながら売り歩いた。明治初期に乗合馬車や鉄道馬車の御者が危険防止のために鳴らしていたものをある豆腐屋が「音が『トーフ』と聞こえる」ことに気づき、ラッパを吹きながら売り歩くことを始めたものである。なお、関西地方では豆腐屋はラッパではなく鐘(関東ではアイスクリーム屋が用いていた)を鳴らしていた。
まず、水につけて柔らかくした大豆を水とともに摩砕し煮出すことが必要となる。水とともに摩砕した大豆を呉(ご)という(加熱する前の呉を生呉、加熱した後の呉を煮呉という)。呉をしぼって得られる液体が豆乳であるが、豆乳を作る際、予め加熱して煮呉を漉す製法を「煮しぼり」、生呉のまま漉す製法を「生しぼり」という(この場合には漉した後に煮詰めることになる)。しぼった後の滓はおからと呼ばれる。
この豆乳がまだ熱いうちににがり(凝固剤)を加えると蛋白分子が後述するように網目状に繋がり、豆乳はプリン状に固まる。これを切り分け水にさらした物が絹ごし豆腐と呼ばれ、水にさらさず直接容器に掬い上げた物が寄せ豆腐と呼ばれる。また、固まった豆乳を崩しながら、内側に布を敷いた型に入れ、水分を抜くと木綿豆腐となる。さらに、工業的な製法として、豆乳を一旦冷やし、凝固剤といっしょにプラスチック容器に流し込んでから加熱して固める充填豆腐もある。充填豆腐は保存性に優れ、ものによっては一か月保存できるものもある。
現在では、近代工業の発達により作業の機械化が進み、わずかの大豆から効率よく豆腐が生産されるようになり、より安価で提供されるようになった。豆腐はかつては店頭で毎日つくられ、柔らかいので崩れないように水槽の中に沈めて売られるものであった。現在は工場で生産され、パック詰めで売られているものが主流である。
日本では工場で生産される豆腐製造業者もあるが、製造業者に中小企業や個人商店も多い。これは「豆腐製造が微妙な技術を要すること、長期保存ができないなど、豆腐の特性が関係していると思われる」(全豆連ホームページより引用)。
また中小企業側は中小企業事業分野調整法により、大企業が進出しようとする場合、都道府県知事を通じて経済産業大臣に調整(進出計画の撤退、縮小)の申し出をすることができる。そのため、当初大手メーカーは海外市場で販売を行っていた。しかし、包装技術の向上(真空充填、チルドなど)により長期保存、大量輸送が可能となり、また流通構造が大きく変化した現在では牛乳販売店などの宅配網や、インターネット等を中心に販売している。[4][5]また一部ではチルド製品を店頭販売している業者もある。[6]。
一方中小企業を中心とする従来の店頭販売では、スーパーやコンビニ事業者の価格決定権が強く特売が当たり前になってしまい、特売が希望小売価格状態になってしまって経営を圧迫している。さらに、原料である大豆はそのほとんどを米国に依存しているが、原料である非遺伝子組み換え大豆生産量はアメリカにおける生産数の一割以下であり、遺伝子組み換え価格の約3倍の価格もする。また、米国のエネルギー安全保障政策でバイオ燃料作物への転作が進み急激な高騰や、包装等の資材の原油価格高騰による原材料費高騰も経営を圧迫している。また、製造工程から出てくるおからは法的には産業廃棄物扱いであり、男前豆腐店の事件など不法投棄や処分費問題をかかえている。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』